節目の儀式はなぜ必要か?
日本と海外に学ぶ成人の意味

2022年4月、日本では成人年齢が従来の20歳から18歳に引き下げられました。
これにより18歳で成人として法的権利を得る一方で、「成人」とは何を意味し、なぜ「成人式」を祝うのか、日本と海外との違いはあるのかといった問いが続いています。

本記事では、日本の成人式の歴史と文化的な意義、海外における成人の通過儀礼などを比較しながら、その価値を再考します。


 

日本の成人式と成人への共通認識 

日本の成人式は、戦後の1948年に国民の祝日「成人の日」が制定されて以来、20歳を祝う伝統行事として私たちの生活に根付いてきました。
しかし、2022年に民法が改正され、成人年齢が18歳に引き下げられたことで、成人のあり方が問われるようになりました。
成人年齢の引き下げにより、18歳で選挙権や契約締結の権利を得る一方、飲酒や喫煙は従来と変わらず20歳以上と定められたままであり、「大人」としての権利と責任の境界は複雑になっています。

成人式についても従来同様20歳で行う自治体が多く、成人式が単なる法的節目ではなく、大人になる意識とその責任を共有するための「コンセンサスをとる場」として機能しています。
こうした節目の儀式があることで、新成人は自覚を促され、周囲の大人たちも彼らを次世代の一員として受け入れる姿勢を改めて確認しています。


海外の通過儀礼、文化が育くむ「成人」のカタチ  

大世界には日本の成人式に似た儀式や習慣が多く存在し、それぞれの文化や価値観に基づいて「成人」への道のりが祝福・象徴されています。
ここではその一部をご紹介します。


《ユダヤ教の「バル・ミツワー/バト・ミツワー」》

ユダヤ教では、男子は13歳、女子は12歳で成人とされ、宗教的責任を果たすことを示す儀式が行われます(男女ともに13歳で行うことも)。
宗派によって異なるものの、若者が聖典を読み上げたり、礼拝を行ったりすることで、コミュニティの一員として認められる重要な通過儀礼とされています。
ちなみにユダヤ教の教会や儀式では、キッパと呼ばれる丸い帽子を被り、頭を隠すことで神への謙遜の意を示します。

 

《メキシコの「キンセアニェーラ」》

15歳の少女を対象にした成人の祝いで、ミサの後に豪華なドレスを着て大規模なパーティーが催されます。
「キンセアニェーラ」という語は、少女の15歳を示すスペイン語の女性名詞です。
その豪華さや盛り上がりは、結婚式級と考えると我々日本人にも想像しやすいかもしれません。
実際、会場ではご馳走のほか生い立ちに関する動画が流されたり、歌ったり踊ったりといった企画が次々に登場します。

 

《アフリカの「成人の試練」》

アフリカの一部地域では、成人になるために若者が厳しい試練を乗り越える儀式が行われます。
これは肉体的・精神的な成熟を求めるものであり、社会の一員としての自覚と責任を確認する機会です。
バヌアツでは「ナゴール」と呼ばれる、20~30メートルにもなる手作りの櫓から芋の蔓で足首を縛り、バンジージャンプのような儀式を行います。
参加するのは10~30歳ほどの男性で、日本ほど年齢による縛りが厳密ではありません。
ケニアのマサイ族はライオン狩りに挑み(現在では動物保護の観点からオリンピック的競技に代替)、エチオピアのハマル族は10頭ほどの牛の背中を飛び移っていき、見事落ちずに数回往復できれば成人として認められます。

こうした身体への危険を伴うアフリカ地域の試練は、現代の日本人には少々受け入れがたいものかもしれません。
しかし日本でも、酢酸に鉄を溶かした鉄漿水(かねみず)と呼ばれる溶液と、五倍子粉(ふしこ)と呼ばれる粉を歯に塗り重ねる、「お歯黒」を行っていました。
この鉄漿水(かねみず)はかなりの悪臭だったそうです。現代の日本社会ではまずやらない独特な文化と言えるでしょう。

 

作法や年齢は違っても共通する「成人」の意味  

今回ご紹介した通過儀礼は、日本の成人式と同様に「大人になることの自覚」を促すものです。
その背景にある文化や価値観、祝われ方に違いはありますが、共通しているのは、成人が単なる年齢の区切りではなく、社会とのつながりや責任を意識する節目であることです。

成人式は、単なる年齢の節目を超えて、社会全体が「大人になる意味」を共有し、コンセンサスをとる大切な機会です。
日本の成人式が今も20歳で行われる背景には、心の成熟と社会的役割への自覚を促す文化的価値が根付いているためでしょう。

一方で、海外の成人儀礼では、成長の祝福や共同体とのつながりを強調する傾向が見られます。
しかし、文化や価値観が日本とは異なっても、成人を迎えることの本質が「責任」と「つながり」の再確認であることに違いはありません。

まずは個人として大人になる自覚を持ち、やがて社会と共に成長していく――そんな意識を支える成人の儀式は、現代においても私たちにとって重要な意味を持ち続けています。

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