あなたの便秘の原因は?

薬剤師 NK

 

便秘というのは症状が分かりやすく、ありふれたことですが結構重要なんです。医学的には「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」とされています。
便秘そのものには沢山の種類があります。同じ便秘と言っても種類が違えば対処法も変わってきます。あなたの便秘の種類は何でしょう。



 

便秘は大きく分けて5種類


 

[1]弛緩性便秘
大腸の動きが悪くなって起きる便秘のことで一番多いです。動きが悪いから長時間留まるようになります。そうすると水分をどんどん吸われて硬くなるんです。こういうのは女性にありがちなんです。女性の方が筋肉が少ないので、力がかけられずに弛緩性便秘になると言われています。また、運動不足の方や、水分が不足している方も大腸への刺激が弱いためこういった便秘が起こりがちです。

[2]食事性便秘
弛緩性便秘に近いですが、食物繊維が少ないせいで大腸の動きが悪くなるということです。動きが悪いので中で便がどんどん硬くなって辛くなります。ダイエットにより食物繊維が不足していたり、元々あまり食事を摂っていなかったり、便の元が少ないから便秘になってしまうんです。

[3]痙攣けいれん性便秘
[1]や[2]とはちょっと違います。ストレスとか緊張とかで大腸の一部が痙攣けいれんします。痙攣けいれんが起きると大腸の通り道が細くなって、便が出なくなってしまうんです。この場合はウサギの糞のように、小さくてコロコロと硬い便が出るという特徴があります。厄介なのは、便秘と下痢と繰り返すという特徴があり、これが痙攣けいれん性便秘の見分け方になります。

[4]直腸性便秘
これも女性に多くみられるようです。特定のところまで便が行っているけど、刺激が少なくて便が出せないというものです。なぜ刺激がうまくいかないかというと、我慢することが習慣化して、出したい時に出せなくなり辛いんです。
若い女性に多いので乙女便秘とも言われることがあります。やはりトイレは我慢しない方が良い、ということです。この場合の特徴は、一日に何回もトイレに行きたいはと思うんですが、一回で出なかったり、少しずつしか出なくなったりするんです。残便感があるのが特徴です。また、寝たきりのヒトの便秘の原因にもなります。

[5]器質性便秘
何らかの病気が原因で大腸の中が狭くなった場合に起こります。例えば、大腸ガンであったり、大きなポリープが出来て便が通りにくくなっていたり、またイレウスといって大腸自体がマヒを起こして先に進まなくて詰まってしまうというものです。
この場合、吐き気を伴っていたり、血便、細い便といった症状が出たりします。こういった特徴を捉えられるかが重要となります。

なお、1から4をまとめて『機能性便秘』と呼びます。



 

原因別の対処法

[1]弛緩性便秘
まずは筋肉が弱まっているので腹筋やお腹マッサージをするなど運動をたくさんし、お腹への刺激を多くするのが大事です。また、水分を取られるので水分を最初に多く摂る、そうすると便が潤って大腸を通過しやすくなります。ですので、水分も大事だし、運動も大事なんです。

[2]食事性便秘
食事性の場合も、そもそも食事の量が少ないということが原因にあるのでなるべく食物繊維が多いもの、野菜などを食べていければ一番いいかと思います。ダイエットが原因の時は食事の量が少ないのですが、カロリーの少ない食物繊維を多く摂るというイメージで改善する方が多いようです。

[3]痙攣けいれん性便秘
これは[1]や[2]とは別なんです。今までは水分を多く摂りましょう、食物繊維を多く摂りましょう、と言ってたんですが、そういった一般的な対策ではうまくいかないことがあります。
例えば、便秘の薬を使ってはダメなんです。痙攣けいれん性便秘の場合は元々大腸が動かないというのではないので、薬を使うと下痢する場合があり、ひどくなることがあるんです。ですので、便秘の薬は使わないです。原因がストレスなので、その辺を解消すること(良く寝る、朝日を浴びて生活リズムや自律神経を整えるなど)が大切です。

[4]直腸性便秘
普通に力むと、便が肛門近くまで下りてきているのに力めば力むほど出せないことがあるので、刺激が伝わりやすいように前かがみになって力むと便秘の時も出やすいと言われています。まずは一般的な運動とか水分を摂っていけばよいと言われています。寝たきりのヒトとかは便を軟らかくするタイプの薬(後述)を使うと良いでしょう。

[5]器質性便秘
これは原因の病気を治すしかないんですよ。ポリープ切除とかガン摘出しか治す方法がないので、吐き気とか血便があった場合は直ぐに医療機関を受診することが大切です。健康診断で便潜血が(+)や(±)で、細い便が出るような場合は、医療機関で内視鏡検査を受けるのが良いでしょう。



 

市販薬で対処するには?


市販薬の便秘薬は、ざっくり大きく分けると2種類になります。一つは大腸を刺激してくれるタイプ(刺激性下剤)で、大腸を刺激して動かすことで便を出すという薬です。もう一つは便を軟らかくするタイプ(浸透圧性下剤)です。便が柔らかくなるので、大腸をするっと通って出やすくなる薬です。

弛緩性便秘食事性便秘は、繰り返しますが大腸の動きが悪いんです。
そういう状態では刺激タイプを使うことが出来ます。よくいうのが刺激性下剤(成分:ビサコジル、ピコスルファート)とか、生薬の成分(センナ・センノシド、ダイオウ、アロエ)が入ったものなどいろいろありますね。古くから下剤と言われているのはこちらのタイプなんです。ただこういったものの問題は慣れると効かなくなって量が増えてしまうんです。そういった時は勝手に量を増やさずに、医療機関を受診するのが良いでしょう。弛緩性便秘には酸化マグネシウムなどの便を軟らかくするタイプも使えますので、こちらを先に選択すると良いでしょう。

痙攣けいれん性便秘の場合は、便秘薬は使わないようにと言われており、元々腸の動きが悪いのではなく、原因がそこではないので便秘の薬を使ってもあまり効かない、下痢をして意味がないといったものになります。どうしても使うとしたら、酸化マグネシウムのような便を軟らかくしてくれるタイプ(刺激性下剤)が良いでしょう。それでも効きづらいとしたら病院で処方される薬を使いましょう。あとはストレスの対処ですね。そちらの方も非常に重要です。

直腸性便秘、これも大腸の動きが悪いのではないので、刺激性の薬を使うとあまり効かなかったり、下痢を起こしたりすることがあります。ですので使うとしたら、酸化マグネシウムのような便を軟らかくしてくれる薬が良いでしょう。こういった風に便秘も原因別にいろいろな対処法があるということを知っておいた方が良いでしょう。



 

おわりに

便秘は、生活習慣の改善(水分補給、食物繊維の摂取、適度な運動、排便リズムの確立)に加えて適切な下剤の使用を知ることで、症状を軽減し快適な生活を送ることが可能です。薬剤師としても、お客様一人ひとりの症状や生活習慣に合ったアドバイスを提供していきたいと思います。気になる点があれば、遠慮なくご相談ください。

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便秘を解消して健康な生活を





(参考)
2)OTC医薬品の比較と使い分け(羊土社)2019年 第7章 便秘薬
3)富山常備薬会報誌 その悩み私たちがお応えします(第5回)アロエ錠スルー

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