小さな実にぎゅっと。
梅の栄養と富山の恵み

しとしとと雨が続くようになり、なんとなく体も気分も重たく感じやすいこの時季。
そんな季節に昔から親しまれてきたのが「梅」です。

6月になると、店先には青梅が並び始めます。
梅酒や梅シロップ、梅干しづくりなど、“梅しごと”の季節の到来です。

日本では古くから、「朝の梅干しは三毒を断つ」と言われるほど、梅は暮らしに根づいてきました。
おにぎりやお弁当、お茶漬けなど、身近な存在でありながら、その小さな実にはさまざまな栄養成分が含まれています。
そして、富山にも古くから親しまれてきた梅の産地があります。

今回は、“梅の栄養”とともに、富山ならではの梅の魅力についてもご紹介します。


目次

梅の酸っぱさの正体は「クエン酸」

梅といえば、やはりあのキュッとくる酸っぱさ。
この酸味の主成分が「クエン酸」です。

クエン酸は、エネルギーを作り出すはたらきに関わる有機酸の一種。
梅にはこのクエン酸が豊富に含まれており、特に熟した梅ほどクエン酸の割合が高くなるとされています。

暑さや湿気で食欲が落ちやすい時季でも、梅の酸味は料理をさっぱりと食べやすくしてくれます。
冷たいそうめんに梅を添えたり、炊き立てごはんに梅干しをのせたり。昔の人が夏前に梅を重宝した理由が、なんとなく分かる気がします。

 

実はミネラルも含まれている

梅は小さな果実ですが、カリウムや鉄、ビタミンEなども含まれています。
特にカリウムは、体内の余分な塩分を排出するはたらきに関わる栄養素として知られています。

また、鉄は赤血球の材料となるミネラルのひとつ。ビタミンEは健康維持に欠かせない脂溶性ビタミンです。
梅干しは塩分が多いため食べ過ぎには注意が必要ですが、毎日の食事に少し添えることで、食卓のアクセントにもなります。
 

富山が誇る「氷見稲積梅(ひみいなづみうめ)」

梅の名産地というと和歌山県を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、富山県にも伝統ある梅があります。
それが、富山県氷見市で育てられている「氷見稲積梅(ひみいなづみうめ)」です。

「稲積梅」は昭和24年に富山県の指定品種となった富山県固有種の梅で、氷見市稲積地区を中心に栽培されています。
氷見稲積梅は、種が小さく果肉が厚いのが特徴。

さらに、寒さや雪に強く、富山の気候に適応してきた品種でもあります。
地元では昔から梅干しや梅ジュースとして親しまれてきました。

現在では、梅として全国初となる地理的表示(GI)保護制度にも登録され、富山を代表する特産品のひとつとして注目されています。

 

梅に含まれるポリフェノールにも注目

梅には、「梅リグナン」と呼ばれるポリフェノール成分も含まれています。
ポリフェノールは植物に含まれる成分の総称で、健康や美容を意識する方からも注目されている成分です。

昔ながらの保存食として親しまれてきた梅ですが、現代でもその魅力が見直されているのは、こうした成分への関心もあるのかもしれません。

 

6月は“梅しごと”を楽しむ季節

6月頃に出回る青梅を見ると、「今年もこの季節が来たな」と感じる方も多いのではないでしょうか。

梅酒、梅シロップ、梅干し…。
手間をかけて仕込んだ梅は、季節の楽しみでもあります。
瓶の中で少しずつ変化していく様子を眺める時間には、どこか心を落ち着かせる魅力があります。

忙しい毎日の中でも、“季節を手仕事で味わう”という豊かさを感じさせてくれる存在なのかもしれません。
富山の氷見でも、梅の収穫時期には梅まつりや梅ジュースづくり体験などが行われ、地域の初夏を彩っています。


 

小さな梅に、昔から愛される理由がある

酸っぱくて、しょっぱくて、どこか懐かしい梅の味。
日本の食卓で長く親しまれてきた背景には、栄養だけではない魅力があるように感じます。

蒸し暑さで体調管理が難しくなるこれからの季節。
毎日の食事に、ほんの少し梅を取り入れてみてはいかがでしょうか。


 

参照元

  • 一般財団法人梅研究会「梅に含まれる成分とその作用」
  • 越中とやま食の王国「稲積梅」
  • 氷見稲積梅株式会社「稲積梅について」
  • 地理的表示産品情報発信サイト「氷見稲積梅」
  • 文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」