旬の味わいを健康の味方に。
初鰹の栄養と取り入れ方

春の訪れとともに旬を迎える初鰹は、縁起物として古くから日本人に親しまれてきました。さっぱりとした味わいが魅力の初鰹には、健康維持に役立つ栄養成分も含まれています。

今回は、初鰹の栄養成分とそのはたらき、おいしく栄養を摂るための選び方と食べ方についてご紹介します。
  

目次

初鰹と戻り鰹の違い

鰹の旬は、春と秋の年2回あります。春に九州南部から北上するものが「初鰹」で、脂が少なくさっぱりとした味わいと、引き締まった歯ごたえのある食感が特徴です。

北上した鰹は、秋頃に南下を始めます。これが「戻り鰹」と呼ばれるもので、エサをたっぷり食べているため、脂がのった濃厚な味わいを楽しめます。

かつては「初物を食べると七十五日長生きする」と言われ、その季節に初めて獲れた野菜や魚介類は縁起物とされていました。江戸では初物を食べることが「粋」とされており、初鰹もこぞって食べられていたそうです。

 

初鰹の栄養成分

おいしくて縁起のよい初鰹には、健康維持に役立つ栄養成分も含まれています。初物を楽しみながら、体にうれしい成分を取り入れましょう。

DHA・EPA|中性脂肪を改善する

ドコサヘキサエン酸(DHA)とエイコサペンタエン酸(EPA)はどちらも脂質の一種で、鰹をはじめとした魚の脂に多く含まれています。DHAとEPAには共通して、血中の中性脂肪を低下させる作用があると考えられています。

脳のはたらきに関わるのは、DHAならではの特徴です。脳機能の維持に役立つことが報告されており、認知機能の低下を遅らせるはたらきも期待できるため、研究が進んでいます。

一方で、EPAには血栓の形成を抑えて血液をさらさらにする作用や、血圧を改善する作用が見込めます。DHAとEPAは体内で作ることができないため、魚を食事へ積極的に取り入れるとよいでしょう。
 

たんぱく質|体をつくる材料になる

たんぱく質は、皮膚や髪、爪、筋肉、内臓など体を構成する主成分です。また、ホルモンや酵素、抗体など、体の機能を調節する物質の材料にもなる栄養素です。

体のエネルギー源には主に糖質が使われますが、糖質が不足した際はたんぱく質が利用されます。たんぱく質を食事から十分に摂取できていなければ、筋肉などが分解されてエネルギー源として利用されるため、筋肉量の低下につながるおそれがあります。

糖質とともに、魚などのたんぱく質源をしっかり補うことが大切です。
 

ビタミンD|カルシウムのはたらきを助ける

ビタミンDは、骨の材料となるカルシウムと密接に関わる栄養素です。小腸でのカルシウムの吸収を促したり、骨へのカルシウムの定着を助けたりするはたらきがあります。

カルシウムは骨に不可欠な栄養素ですが、吸収率が低いことがわかっています。骨の健康を守るため、カルシウムとともにビタミンDを摂ることを意識しましょう。

 

ビタミンB₁₂|貧血を防ぐ

ビタミンB₁₂のはたらきのひとつが、赤血球に含まれるヘモグロビンの合成を助けることです。ヘモグロビンは、肺で取り込んだ酸素を全身に運び、二酸化炭素を回収する役割を担っています。

ヘモグロビンがうまく合成されなければ正常な赤血球が不足し、貧血を引き起こすことがあります。ビタミンB₁₂は主に動物性食品に含まれるため、魚介類や肉の摂取を心がけましょう。

 

初鰹の選び方とおすすめの食べ方


 

せっかく旬の初鰹を食べるのであれば、新鮮でおいしいものを選びたいですよね。

柵や切り身で販売されている場合は、身の色が鮮やかなものを選びましょう。色が黒ずんでいるものは、時間が経って酸化が進んでいる可能性があります。

DHAやEPAを含む脂や水溶性栄養素を無駄なく摂るには、刺身にして生で食べるのがおすすめです。初鰹は焼いたり煮たりすると身がぱさつきやすいため、表面だけ炙るたたきもよいでしょう。

鰹の臭みが気になるときは、しょうがやにんにく、ねぎなどの薬味を添えると食べやすくなります。
 

旬の味覚「初鰹」で健康の土台を整えよう

春に旬を迎える初鰹には、DHAやEPA、たんぱく質、ビタミンD、ビタミンB₁₂など、健康の土台を整える栄養成分が含まれています。脂が少なくさっぱりとした味わいも、初鰹ならではの魅力です。

旬の時期にしか味わえないおいしさを楽しみながら、初鰹の栄養成分で健やかな体をつくりましょう。

参照元

  • 国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報「魚油」
  • 橋本道男ほか. ω3系脂肪酸による認知症予防. オレオサイエンス. 2022. 第22巻第7号. p.327-335.
  • 栄養素の通になる 第5版、上西一弘、女子栄養大学出版
  • 中村督. 食品でひく 機能性成分の事典. 女子栄養大学出版部. 2022.