春が旬の新たまねぎ|体にうれしい栄養成分とそのはたらき
春先にのみ店頭に並ぶ新たまねぎは、通年流通しているたまねぎとは異なり、甘みとやわらかな食感を楽しめるのが特徴です。旬の味覚というだけでなく、健康を支える栄養成分を含む点でも、食卓に取り入れたい食材といえます。今回は、新たまねぎに含まれる注目の栄養成分についてご紹介します。

目次
新たまねぎとは?普通のたまねぎとの違い
たまねぎは、スーパーマーケットなどで1年中見かける身近な野菜です。これに対して「新たまねぎ」は、春先だけ出回る早生(わせ)品種を指します。
通常、たまねぎは収穫してから乾燥させますが、新たまねぎは収穫後すぐに出荷されます。そのため、水分が多くてやわらかいことが特徴です。形はやや平らで、たまねぎ特有の辛みが弱くて甘みが強く感じられることから、生食にも向いています。
新たまねぎに含まれる栄養成分
新たまねぎの魅力は、味わいや食感だけではありません。血管の健やかさや腸内環境を支える成分が含まれており、日々の健康管理において頼もしい食材でもあります。ここでは、新たまねぎに含まれる「硫化アリル」と「フラクトオリゴ糖」について解説します。
硫化アリル|血管の詰まりを防ぐ
硫化アリルは、たまねぎ特有の鼻をつんと刺激する香りの主成分です。硫化アリルにはいくつかの種類があり、それぞれ異なる性質を持っています。
硫化アリルの一種である「プロピルメチルジスルフィド」には、コレステロールの代謝を促したり血栓ができるのを防いだりする、いわゆる「血液をサラサラにする」はたらきがあることが特徴です。
血液中の余分なコレステロールは血管内に沈着し、コブを作ります。このコブが破れてできた血栓は血管を詰まらせ、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こすことがあります。血液をサラサラに保つことで、血管の詰まりによって起こる病気を予防できるでしょう。
同じく硫化アリルに分類される「アリシン」には、交感神経を刺激して体温を上昇させるはたらきがあります。体温が上がって基礎代謝が高まると、体脂肪が燃焼されやすくなることが期待できます。アリシンには抗菌作用もあり、風邪などの感染症の予防に役立つでしょう。
さらにアリシンには、ビタミンB₁の吸収を助けるはたらきもあります。ビタミンB₁は、糖質をエネルギーへ変換するために欠かせない栄養素です。アリシンとビタミンB₁を一緒に摂取することで、エネルギー不足による疲労からの速やかな回復が期待できます。
フラクトオリゴ糖|お腹の調子を整える
フラクトオリゴ糖は糖質の一種でありながら、胃や小腸で消化・吸収されにくいことが特徴です。大腸まで届いたフラクトオリゴ糖は、ビフィズス菌をはじめとした善玉菌のエサとなり、腸内細菌のバランスを良好な状態に整えます。
また、近年注目を集めているのが、腸内細菌がフラクトオリゴ糖から作り出す「短鎖脂肪酸」です。短鎖脂肪酸には、カルシウムやマグネシウムなどの吸収を促すはたらきがあることがわかっています。そのほか、肥満の抑制や血糖値の改善に関わることも示唆されています。
新たまねぎのおすすめの食べ方と注意点

硫化アリルには、水に溶けやすい性質があります。サラダとして生で食べたり、溶け出した成分も摂取できる汁物にしたりすると、硫化アリルを無駄なく取り入れられます。
また、硫化アリルはビタミンB₁の吸収率を高めるため、次のようにビタミンB₁が豊富な食材を組み合わせるとよいでしょう。
- 新たまねぎと豚肉を炒め合わせる
- かつおのたたきに新たまねぎのスライスを添える
- ライ麦パンに新たまねぎのサラダを挟む
ただし、硫化アリルは熱に弱い性質も持ち合わせており、加熱する場合は手早く調理するのがポイントです。 保存方法にも、新たまねぎならではの注意点があります。乾燥させていないため、新たまねぎは水分が多く、あまり日持ちしません。購入後は冷蔵庫で保存し、2〜3日を目安に食べ切りましょう。
栄養成分を摂取したいからといって、新たまねぎを食べ過ぎるのは禁物です。新たまねぎを一度にたくさん食べると、アリシンの作用で胃痛を引き起こすおそれがあります。適量を意識して取り入れることが大切です。
新たまねぎの栄養で春先の体調を整えよう
新たまねぎは、春にだけ味わえる旬の味覚であると同時に、体にうれしい栄養成分を含む食材でもあります。血管を健やかに保つ硫化アリルや、腸内環境を整えるフラクトオリゴ糖は、日々の健康管理の味方になる成分です。
新たまねぎを献立に取り入れて、春先だけの味を楽しみながら、その栄養成分を健康維持に役立ててみましょう。
参照元
- 農林水産省「新玉ねぎと普通の玉ねぎの違いについて教えてください。」
- 独立行政法人農畜産業振興機構「これからが旬、新たまねぎ!」
- 公益社団法人日本農業法人協会「野菜の健康機能(2)ネギ、玉ねぎの辛味成分~硫化アリル~」
- 短鎖脂肪酸普及協会「短鎖脂肪酸とは」
- 中村督. 食品でひく 機能性成分の事典. 女子栄養大学出版部. 2022.
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