紫外線ダメージから肌を守る栄養素と食べ物

強い日差しを浴びると、紫外線ダメージが気になる方は多いのではないでしょうか?紫外線は肌にさまざまな影響を与えます。しかし、日差しを避けることに加え、毎日の食事で内側からケアすることで、紫外線による影響を軽減できるかもしれません。今回は、紫外線ダメージを抑える栄養素と食べ物について解説します。


紫外線が肌に与える影響とは

紫外線は、波長の違いにより、次の3つに分けられます。

● UV-A(紫外線A波)
● UV-B(紫外線B波)
● UV-C(紫外線C波)

これらのうち、UV-Cはオゾン層により吸収されるため、実際に地上に届くのはUV-AとUV-Bです。

UV-Aは、肌を黒くする作用がある紫外線です。また、肌の奥にある「真皮」と呼ばれる組織にまで届いてダメージを与えます。このダメージが蓄積されると、シワやたるみが引き起こされます。

一方で、UV-Bは肌の表面にダメージを与え、炎症を起こすことで肌を赤くする紫外線です。また、UV-Bの影響でメラニン色素が増えるため、シミの原因となります。さらに、長年にわたって紫外線を浴び続けると、皮膚がんが生じる可能性があります。 


紫外線ダメージを抑える栄養素と食べ物

紫外線から肌を守るには、衣服や帽子、日傘、日焼け止めなどで防ぐことが大切です。加えて、食べ物で体の中からケアすることもおすすめします。ここでは、紫外線ダメージを抑える働きが期待できる栄養素と食べ物を紹介します。



ビタミンA|皮膚の健康を保つ
ビタミンAは、皮膚の健康維持に関わる栄養素です。また、体内でビタミンAに変わるβ-カロテンも、紫外線対策に役立つ成分として知られています。

紫外線を浴びると、体内で「活性酸素」が発生します。活性酸素とは、呼吸で取り込んだ酸素の一部が変化したものです。活性酸素が増えすぎると、生活習慣病や老化の原因になることがわかっています。

β-カロテンの特徴は、活性酸素の働きを抑える「抗酸化作用」を持つことです。そのため、紫外線によって生じた活性酸素によるダメージを抑える働きが期待できます。

β-カロテンは、にんじんやかぼちゃ、ほうれん草などの緑黄色野菜に豊富です。体に取り込まれたβ-カロテンは、必要に応じてビタミンAに変わります。β-カロテンをしっかり摂っていればビタミンAも補えるため、紫外線対策にはβ-カロテンの摂取を意識すると良いでしょう。



ビタミンC|肌のハリを維持する
ビタミンCは、肌のハリをつくるコラーゲンの生成を助ける栄養素です。紫外線が当たるとコラーゲンが傷つき、肌のハリが失われることがわかっています。そのため、ビタミンCの摂取によりコラーゲンの生成が促され、肌のハリを保つことにつながります。

メラニン色素をつくる酵素の働きを抑えることも、ビタミンCの働きの一つです。メラニン色素はシミの原因となるため、ビタミンCにはシミを防ぐ作用も期待できます。さらに、ビタミンCは抗酸化作用もあります。

ビタミンCを摂るなら、キウイフルーツや柑橘類などのフルーツがおすすめです。パプリカやブロッコリーにも多く含まれていますが、ゆでると水に溶けて失われてしまうため、電子レンジ調理を活用しましょう。



ビタミンE|活性酸素の働きを抑える
ビタミンEには強い抗酸化作用があります。そのため、紫外線によって生じた活性酸素の働きから体を守る助けとなるでしょう。また、ビタミンEには血行を促進する作用もあります。酸素や栄養が肌に行き渡ることで新陳代謝(ターンオーバー)が整い、シミを防げると考えられています。

ビタミンEを多く含むのは、アーモンドなどのナッツ類、かぼちゃ、アボカドなどの食べ物です。油と一緒に摂ると吸収率が高まるため、炒め物にしたり、サラダにしてオイル入りのドレッシングをかけたりして取り入れることをおすすめします。



ビタミンB群|細胞の生まれ変わりを促す
ビタミンB群も紫外線によるダメージを抑えるのに役立ちます。なかでも注目したいのが、ビタミンB₂とビタミンB₆です。

ビタミンB₂は、皮膚の材料となるたんぱく質の合成に関わり、細胞の再生を助けます。一方で、ビタミンB₆は摂取したたんぱく質を分解したり、体内でたんぱく質を合成したりするはたらきに関わります。

ビタミンB₂は、レバーや納豆、卵、アーモンドなどに豊富です。ビタミンB₆はマグロやカツオ、鶏肉、バナナなどに多く含まれています。これらの栄養素はたんぱく質の体内での利用をサポートするため、たんぱく質を多く含む肉類や魚類、卵などを摂ると効率的です。  


内側からのケアで、紫外線に負けない肌をつくろう
紫外線対策は、外側からだけでなく、体の内側からのケアも大切です。

ビタミンA・C・EやB群を含む食べ物を取り入れると紫外線によるダメージが和らぎ、健やかな肌を保つ助けになります。日々の食事を工夫して、紫外線に強い肌をつくりましょう。

参照元
● 日本化粧品工業会「消費者の皆様へ 紫外線編」
● 環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」
● 公益財団法人 長寿科学振興財団 健康長寿ネット「酸化ストレス」
● 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)策定検討会報告書」
● 栄養素の通になる 第5版、上西一弘、女子栄養大学出版