春野菜の特長と栄養
旬の食材で元気な毎日に

春にんじんに新じゃがいも、新玉ねぎ……スーパーの野菜売り場に春野菜が並ぶと、新しい季節の訪れを感じますね。旬ならではの栄養がたっぷり詰まった春野菜は、体の内側から健康をサポートしてくれる心強い味方です。今回は、春野菜の特長や栄養を紹介します。春野菜を取り入れ、体調を崩しがちな季節を元気に乗り切りましょう。

春野菜の特長とは

春野菜の特長は、ビタミンが豊富で、苦味を持つものが多いことです。

春野菜に含まれるビタミンのなかでも、とくに注目したいのはビタミンAです。ビタミンAには、肌や粘膜の健康を保つ働きがあります。

春は花粉や黄砂の影響で、眼のかゆみや充血、くしゃみ、鼻水など、粘膜にアレルギー症状が現れやすくなる季節です。ビタミンAを摂取すると粘膜が強くなり、アレルギー症状が緩和される可能性があります。

また、春野菜の苦味はポリフェノールに由来します。ポリフェノールは、体内で増えすぎた活性酸素の働きを抑える「抗酸化作用」をもつ成分です。ポリフェノールの摂取には、活性酸素が原因となる生活習慣病や、肌の老化を防ぐ効果が期待できます。

主な春野菜の特長と栄養

春野菜には多くの種類がありますが、ここでは代表的なものを取り上げ、その特長と栄養成分を解説します。

春にんじん
にんじんは年間を通して流通していますが、4月頃から出回る春にんじんはやわらかくて甘みがあり、みずみずしいことが特長です。生で食べると、そのおいしさを存分に味わえます。

にんじんに含まれるβ-カロテンの量は、野菜のなかでもトップクラスです。β-カロテンはそれ自体が抗酸化作用をもち、体内でビタミンAに変換されることで、粘膜の健康維持にも役立ちます。脂質と一緒に摂取するとβ-カロテンの吸収率が高まるので、オイルが入ったドレッシングなどをかけて食べるのがおすすめです。


新じゃがいも
5〜6月を中心に出回る新じゃがいもは、水分が多く皮が薄いことが特長です。

じゃがいもの皮の近くには、クロロゲン酸と呼ばれる成分が含まれています。クロロゲン酸は抗酸化作用をもつポリフェノールの一種であり、じゃがいも以外ではコーヒーにも含まれることが知られています。新じゃがいもを皮ごと調理すれば、クロロゲン酸を無駄なく摂取できるでしょう。


新玉ねぎ
4月頃から出回り始める新玉ねぎは、やや平たい形で、食感がやわらかい特長があります。

玉ねぎのツンとする香りと辛みは、硫化アリルという成分が原因です。硫化アリルには、血液をサラサラにして血栓を予防する効果が期待できます。硫化アリルは加熱すると成分が変化するため、効率よく摂取するなら生で食べるのがおすすめです。

辛みが少なくやわらかい新玉ねぎは、生でもおいしく食べられます。硫化アリルは水に溶けやすいので、水にさらす場合は短時間にとどめることもポイントです。


グリーンピース
缶詰や冷凍のグリーンピースには青臭さを感じる人も多いでしょう。しかし、春に出回る生のグリーンピースは味が濃厚で甘みがあり、食感もほっくりとしておいしいので、ぜひ食べてほしい春野菜のひとつです。

グリーンピースには糖質とたんぱく質が多く含まれており、新生活で疲れた体のエネルギー補給や、冬に運動量が減って低下した筋肉を回復させるのに役立ちます。糖質やたんぱく質の代謝を助けるビタミンB群も豊富なので、春の健康管理にグリーンピースを活用してください。


筍(たけのこ)
生の筍がスーパーの売り場に並ぶのも春ならではの光景です。茹でた筍のほのかな甘みとうまみに、春の訪れを感じます。ただし、収穫から時間が経つほど、シュウ酸が増えてえぐみが強くなってしまいます。シュウ酸の増加を止めるために、新鮮なうちに茹でましょう。

筍には食物繊維が豊富に含まれており、腸内環境を改善する効果が期待できます。さらに、食物繊維にはコレステロールを体外へ排出させる作用があるため、動脈硬化予防にも役立ちます。


せり
せりは、春の七草のひとつとして知られる野菜です。特有の爽やかな香りは、胃を元気にするほか、解熱や解毒の作用があるといわれています。

また、β-カロテンやビタミンC、鉄などの栄養素を含むことも特長です。なかでもビタミンCは、ストレスを受けると急速に消費されます。新年度を迎えて環境が変わるなど、ストレスを感じることが多い春は、せりを食べてビタミンCを摂取しましょう。 

 

春野菜を食事に取り入れて
体の内側から元気に!

春野菜にはビタミンやポリフェノールなど、健康を支える栄養素が豊富に含まれています。旬の野菜を取り入れることで、季節の変わり目に揺らぎやすい体調を整えやすくなるでしょう。体の内側から元気になるために、毎日の食事に春野菜を取り入れてみてください。

参照元
● もっとからだにおいしい野菜の便利帳、白鳥早奈英、板木利隆、高橋書店
● 春野菜の効能について|独立行政法人 農畜産業振興機構