秋が旬!さんまの栄養について

秋になるとおいしい食材が数多く登場しますが、なかでもさんまは秋の味覚の代表といえる存在です。
スーパーの店頭でさんまを目にしたり、さんまが食卓に登場したりすると、秋の訪れを感じる方は多いのではないでしょうか?
実は、さんまはおいしいだけでなく、栄養豊富な食材でもあります。
そこで今回は、さんまに含まれる栄養素について解説します。 

さんまに含まれる豊富な栄養素

さんまにはさまざまな栄養素が含まれていますが、今回は特に注目したい成分を取り上げて解説します。

《DHA・EPA》

DHAとEPAは、魚類に豊富な脂質の一種です。
そのため、脂がのった旬のさんまにはDHAとEPAが豊富に含まれています。
DHAとEPAはどちらも、血液中のLDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪を減少させる作用があると考えられている成分です。
さらに、DHAは記憶力や判断力などの脳機能を高める効果、EPAは血液をサラサラにして血栓症を予防する効果が期待できます。
DHAとEPAはどちらも体内で合成できません。
そのため、さんまをはじめとした青魚を食べて食事から摂取するように意識しましょう。
 

《ビタミンB₆》

ビタミンB₆は、たんぱく質の分解や体内での合成をサポートする栄養素です。
たんぱく質は肌や髪、筋肉、内臓などの組織を構成する重要な栄養素であり、肉や魚、卵などに多く含まれています。
さんまもたんぱく質が豊富な食材の一つです。
したがって、ビタミンB₆のはたらきにより、さんまのたんぱく質が体内で効率よく利用されることが期待できます。
歳を重ねると、筋肉の衰えが心配です。
たんぱく質とともにビタミンB₆を摂取して、筋肉量の維持に努めましょう。
 

《ビタミンB₁₂》

ビタミンB₁₂は、正常な赤血球の生成をサポートするはたらきがあり、「造血のビタミン」とも呼ばれています。
貧血の予防には鉄の摂取が有効とされていますが、加えてビタミンB₁₂を摂ることで、効率よく貧血を予防・改善できるでしょう。
若い方の貧血の多くは鉄不足が原因ですが、高齢になるとさまざまな要因が重なって貧血が起こりやすくなります。
鉄だけでなくビタミンB₁₂も摂取して、貧血を防ぎましょう。
 

《ビタミンD》

ビタミンDには、カルシウムの吸収を促進する作用があります。
カルシウムは、骨を強くするミネラルとして知られています。
しかし、体への吸収率はあまり高くなく、食べ物から取り入れたカルシウムがすべて体内で利用されるわけではありません。
そのため、骨の健康が気になるときは、カルシウムとともにビタミンDを摂取することをおすすめします。


さんまの栄養を効果的に摂る方法

さまざまな栄養素を含むさんまは、健康維持に役立つ食材です。その栄養を効率よく摂取する方法を知り、さんまを余すところなく摂り入れましょう。



《まるごと食べて栄養を無駄なく摂取する》

さんまを使った料理というと、塩焼きを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?
香ばしく焼けたさんまは食欲をそそりますが、さんまをグリルや網で焼くと脂が落ちて、DHAとEPAが失われてしまいます。
さんまのDHAとEPAを無駄なく摂取するなら、生のまま刺身や寿司で食べるとよいでしょう。

さんまの煮物も定番料理の一つです。
しかし、ビタミンB₆とビタミンB₁₂には水に溶けやすい性質があり、煮物にすると煮汁に流れ出てしまいます。
そこでおすすめしたいのは、つみれ汁と炊き込みご飯です。
さんまのつみれ汁は、汁まで飲むと溶け出たビタミンB₆とビタミンB₁₂を摂取できます。
さんまを炊き込みご飯にすると、うまみと栄養素をお米が吸収してくれるので、さんまのおいしさと栄養をまるごと摂り込めます。


《カルシウムと一緒に摂取して骨を強化する》

骨の強度は加齢とともに弱くなり、高齢になると骨粗しょう症のリスクが高まります。
骨を丈夫に保つには、カルシウムに加えてビタミンDを摂取することが大切です。
カルシウムは牛乳や乳製品に豊富なことで知られる栄養素ですが、大豆製品や一部の野菜にも多く含まれています。
さんまを主菜にした献立に納豆を加えたり、小松菜や水菜、豆腐を使った副菜を取り入れたりして、骨の健康のためにカルシウムとビタミンDを十分に摂取しましょう。  


栄養豊富なさんまで健康な体をつくろう

秋に旬を迎えるさんまはおいしいうえに、DHAやEPA、ビタミン類などの健康維持に欠かせない栄養素がたっぷり詰まった食材でもあります。
さらに、調理法を少し工夫すれば、さんまの栄養を無駄なく摂取できるようになります。 秋ならではの味覚を堪能しつつ栄養をしっかり摂取して、健やかな体をつくりましょう。