秋鮭・紅鮭・銀鮭・時鮭の違いと栄養価
色鮮やかな鮭は、食卓の主役になる食材です。
お店に並ぶ鮭をよく見ると、いろいろな種類があることに気付くでしょう。
これらの鮭は、何が違うか知っていますか?
今回は、秋鮭・紅鮭・銀鮭・時鮭の4種類を取り上げ、それぞれの違いと鮭の栄養価について紹介します。
鮭の種類による違いとは?
鮭はどの種類も同じような見た目をしていますが、産地や味わいに違いがあります。
それぞれの特徴を知り、買い物や料理に活かしましょう。
《秋鮭》
実は、秋鮭という名称は正式なものではありません。
本来は白鮭という種類の魚で、漁獲される時期により呼び名が変わります。
白鮭は川で生まれてから海に出て、産卵時期である9〜11月頃に川へ戻ってきます。
そのタイミングで漁獲された白鮭が「秋鮭」と呼ばれているのです。
秋鮭は北海道のほか、東北や新潟でも漁獲されています。
秋鮭の身は淡いオレンジ色をしています。
産卵に栄養が使われるため、脂のりは控えめです。
味もさっぱりしており、ちゃんちゃん焼きや西京焼きなどの濃い味付けの料理がよく合います。
《紅鮭》
名前のとおり、鮮やかな身の色が特徴的な紅鮭は、鮭のなかでもっとも赤い色をしています。
うま味が強くて脂も適度にのっており、焼き魚のほか、シチューやムニエルにするのもおすすめです。
焼いた身をほぐしてチャーハンやおにぎりに加えると、彩りも豊かでおいしく仕上がります。
紅鮭の主な産地はロシアとカナダで、流通しているものはすべて天然物です。
《銀鮭》
銀鮭の身の色は濃いオレンジ色で、とても脂のりがよいのが特徴です。
身はふっくらとやわらかく、十分なうま味もあるので、シンプルに焼き魚にすると銀鮭のおいしさを堪能できるでしょう。
炊き込みご飯にすると、米が銀鮭のうま味を吸収して味わい深い一品になります。
チリ産の養殖物が主流ですが、日本でも一部養殖されています。
《時鮭》
時鮭の読み方は「ときしらず」であり、こちらも白鮭の別称です。
本来の旬とは異なる、初夏に川へ戻ってきた白鮭を「時鮭」と呼びます。
産卵の時期ではないため、脂がのっていて身もふっくらしています。
焼いた時鮭を、醤油、みりん、酒を混ぜた調味液に漬けて食べる「焼漬け」は、北海道で親しまれている郷土料理の一つです。
漁獲量が少なく、秋鮭よりも高級品とされています。
鮭の栄養価
ほどよい脂とやわらかな身で人気の鮭は、さまざまな栄養成分を含む食材でもあります。
ここからは、鮭の栄養について解説します。
《鮭の種類による栄養価の違い》
鮭はいくつかの種類に分けられますが、栄養価に違いはほぼありません。
ただし、脂のりがよい銀鮭には、秋鮭や紅鮭に比べてエネルギーが約1.5倍、脂質が約3倍多く含まれています。
秋鮭よりも脂のりがよいとされる時鮭も、エネルギーと脂質が多いと考えられます。
《鮭に豊富な栄養成分》
鮭に豊富な栄養成分は次のとおりです。
- ビタミンB₆
- ビタミンD
- DHA、EPA
- アスタキサンチン
ビタミンB₆は、たんぱく質の分解や合成をサポートします。
たんぱく質は筋肉や肌、髪、内臓など人の体の材料になる栄養素であり、鮭自体にもたんぱく質が含まれています。
たんぱく質とビタミンB₆を一緒に摂取すると、体内でたんぱく質が効率よく使われるようになるでしょう。
ビタミンDには、骨のもとになるカルシウムの吸収を促す働きがあります。
カルシウムは吸収率が低いため、ビタミンDを一緒に摂取して強い骨を作りましょう。
脂質の一種であるDHAとEPAには、血液中のLDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪を減少させる効果が見込めます。
また、DHAが持つ認知機能の低下を防ぐ効果も注目されています。
鮭が鮮やかな色をしているのは、色素成分のアスタキサンチンを含むためです。
アスタキサンチンには強い抗酸化作用があり、老化や動脈硬化を防ぐ効果が期待できます。
また、眼精疲労の回復にも効果を発揮すると考えられています。
アスタキサンチンは色素成分であるため、身の色が濃い紅鮭に豊富です。
鮭をおいしく食べて豊富な栄養成分を摂取しよう
鮭にはいくつかの種類があり、それぞれ脂のりやうま味の強さなどに違いがあります。
鮭の味わいに合わせて調理すると、おいしさをより引き出せるでしょう。
また、鮭は栄養豊富な食材でもあります。
さまざまに調理して鮭の味わいを楽しみながら、その栄養をしっかりと摂取しましょう。