しみ対策におすすめの栄養素と食材

年齢を重ねるとともに気になるのが、肌にできるしみです。肌の外側からお手入れしてもなかなか消えず、悩んでいる方も多いのではないでしょうか?

実は、しみ対策は肌の外側だけでなく、体の内側からのケアも大切です。今回は、しみができる仕組みを解説し、肌を美しく保つ栄養素や食材を紹介します。 

肌にしみができる仕組み

肌にできるしみの多くは、長年にわたって浴び続けた紫外線の影響によるものです。
しみのもとになるのは「メラニン」という色素です。これは、皮膚に存在する「メラノサイト」と呼ばれる細胞で作られます。紫外線を浴び続けると、その影響によりメラノサイトが増え、メラニンの量も増加します。また紫外線によって、メラノサイトを刺激する物質が多く作られるようになることも、メラニンが過剰になる原因の一つです。

本来、肌はメラニンを分解したり排出したりする力を持っています。しかし、加齢や紫外線の影響によってその力が弱まると、メラニンが肌に残りやすくなります。こうしてメラニンが肌に沈着し、しみになるのです。

美しい肌づくりを助ける栄養素

しみを防ぐためには紫外線を避けることが大切ですが、過去に浴びた紫外線の影響で、しみができやすい肌になっている場合もあります。そのようなときは、体の内側から肌にはたらきかけましょう。ここでは、美しい肌を保つために取り入れたい栄養素について解説します。

ビタミンC|メラニンの生成を抑える
ビタミンCといえば、肌の美しさに関わる栄養素という印象を持っている方も多いでしょう。実際に、ビタミンCはしみとも関わりがあります。

ビタミンCには、還元作用によってメラニンの生成を抑えるはたらきがあると考えられています。さらに、肌にできたしみを薄くするはたらきも期待できることから、ビタミンCは美しい肌を保つうえで欠かせない栄養素といえるでしょう。 


L-システイン|メラニンの排出を助ける
L-システインとは、たんぱく質の最小単位であるアミノ酸の一種です。メラニンの生成を抑える作用に加えて、肌の新陳代謝(ターンオーバー)を整える作用があることがわかっています。

肌は、古い細胞がはがれ落ち、新しい細胞が作られる新陳代謝を一定の周期で繰り返しています。通常、肌にできたメラニンは新陳代謝により排出されるため、しみになることはありません。しかし、新陳代謝の周期が乱れると、メラニンが排出されにくくなり、肌に沈着してしみになることがあります。

L-システインには新陳代謝の周期を整える作用があるため、メラニンを排出しやすくなると考えられています。 


β-カロテン|活性酸素のはたらきを抑える
β-カロテンは、野菜や果物に含まれる色素成分です。体内に入るとビタミンAに変換されますが、一部はβ-カロテンのまま効果を発揮します。
しみができる原因の一つに、活性酸素があります。活性酸素とは、呼吸で取り込んだ酸素の一部が、紫外線やストレスなどの影響で変化した物質です。活性酸素が増えるとメラニンが増加したり、濃くなったりすると考えられています。

β-カロテンには、この活性酸素のはたらきを抑える「抗酸化作用」があります。したがって、β-カロテンを摂取すると活性酸素による影響が軽減され、しみの予防につながるでしょう。 


しみが気になるときにおすすめの食材と食べ方




ここでは、先ほど紹介したビタミンC、L-システイン、β-カロテンを豊富に含む食材と、それぞれの栄養素を効率よく摂り入れる方法を紹介します。

ビタミンCを摂るなら、パプリカやブロッコリー、キウイ、柑橘類がおすすめです。ただし、ビタミンCは調理方法によって減少することがあります。そのため、パプリカはサラダなどに加えて生で食べ、ブロッコリーは電子レンジで加熱すると、ビタミンCを無駄なく摂り入れられます。

L-システインを含む食材は限られており、その含有量もごくわずかです。そこで、L-システインの材料となる「メチオニン」を摂ることを意識しましょう。メチオニンは、肉や魚、乳製品、大豆製品、ナッツ類など、幅広い食品に含まれています。

色素成分であるβ-カロテンは、にんじんやかぼちゃなどの色鮮やかな緑黄色野菜に豊富です。
油に溶けやすい性質があるため、油で炒めたりオイル入りのドレッシングをかけたりすると、β-カロテンの吸収率が高まります。 

 

しみが気になる肌は体の内側から整えよう

肌にできるしみは、長年にわたる紫外線の影響が関係しており、歳を重ねた多くの方が抱えるお悩みの一つです。しみが気になるときは、肌を内側から支える栄養素を摂ることが大切です。毎日の食事で、肌にはたらきかける栄養素を継続的に取り入れ、年齢に負けない健やかな肌を目指しましょう。

【参照元】

  • 船坂陽子. しみのメカニズムから治療まで. 日本香粧品学会誌. 2023. Vol.47, No.2, p.117-126.
  • 石上昭人. 健康や美容のマストアイテムービタミンCー. ビタミン. 2021. 95巻, 12号, p.532-534
  • 市橋正光ほか. 皮膚のアンチエイジング. オレオサイエンス. 2018. 第18巻第3号. p.121-129
  • 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」