暑い夏の大定番!
冷たい飲み物の栄養と健康

暑い夏の名物と言えば、冷蔵庫に長時間入れておいた麦茶やジュース、
お酒などの冷たい飲み物ではないでしょうか?


しかし、「やっぱり夏は冷たい飲み物が美味しいから」というだけで、
それらがもたらす健康への影響はあまり語られていません。

そこで今回は、冷たい飲み物が健康に与える影響と、
栄養面での実態についてご紹介します。

 

冷たい飲み物が胃腸に与える影響とは?

冷たい飲み物は胃腸に少なくないダメージを与えることはご存知でしょうか?

食べ物の消化吸収を助ける、唾液、胃液、すい液などの「消化酵素」には、
その働きに適した温度があります。

その温度は私たち人間の体温とほぼ同じ37度前後であると言われており、
冷たい飲み物を摂ると体内温度が急激に下がり、消化酵素が十分に働かなくなるとされています。

こうした消化不良は栄養吸収を妨げ、体力や免疫力の低下を招くだけでなく、
腸の働きが鈍ることで便秘や腹痛の原因になる可能性も。

どんなにバランスの良い食事を心がけていても、
正しく身体に取り入れられないのであれば本末転倒です。

食べ物は口に入れるまでだけではなく、口に入れた後の扱い方も重要なのです。

特に夏は冷たい飲み物だけでなく、そうめんや冷奴などの固形の食べ物も
体内温度を下げる原因になります。

量や頻度をほどほどにするか、温かい飲み物や食べ物と一緒に食べることで、
体内温度を下げる度合いを軽減させるようにしましょう。

 

夏の冷たい飲み物に含まれる栄養素とその効果

夏に人気の冷たい飲み物には、どのような栄養素が含まれているのでしょうか?

清涼感を売りにしている多くの冷たい飲み物には、ビタミンやミネラルが含まれており、
一見すると健康に良いと思われがちです。

しかし、注意が必要なのはこれらの飲み物に含まれる糖分です。

たとえば、フルーツジュースはビタミンCやカリウムが豊富とされていますが、
同時に大量の糖分も含まれています。

これを過剰に摂取すると血糖値の急上昇や肥満につながる可能性があります。

ちなみに、夏休み後に歯医者の受診が増えるのも、
夏についつい冷たくて甘い飲み物を飲み過ぎるからだとされています。

スポーツドリンクは、運動後の水分補給やミネラル補給に適しており、
夏こそ大活躍と思われていますが、やはりこちらも糖分が多く含まれています。

特に運動量が少ない日常生活の中でこれを多く摂取すると、カロリー過多になり、
体重増加の原因となることがあります。

運動するのが億劫になる夏ではありますが、
スポーツドリンクの摂取量とカロリー消費の関係性には注意したいところです。

さらに、アルコール飲料も注意が必要です。
ビールやカクテルなどのアルコール飲料は、爽快感とそののどごしから特に好まれます。
キャンプ、ビアガーデンなどでは、よく冷えていれば冷えているほど喜ばれますよね。

ただ、アルコール飲料はカロリーが高いだけでなく、肝臓へのダメージ、
冷えていれば冷えているほど胃腸への負担にもなります。

また、代謝に時間がかかるばかりか、利尿作用によって体内の水分を失わせる原因にも。

特に夏は脱水症状の危険性が高まりますので、
アルコール飲料はほどほどにしておいた方が良さそうです。

 

冷たい飲み物の健康的な代替案

冷たい飲み物の代替案として、常温もしくは温かい飲み物を取り入れることを
おすすめします。

こうした飲み物は胃腸への負担がかかりにくく、消化機能を良好に保つことができます。

たとえば、常温の水やハーブティーは、体を冷やさずに水分補給を行うのに適しています。
また、温かいスープやお茶も良い候補でしょう。特に、しょうがやレモングラスなどの
ハーブを使ったティーは、消化を助け、体を温める効果も。

食べ過ぎや胃もたれを抑える効果があるとも言われており、
イベント続きで乱れがちな食事との相性もバッチリです。

ただ、夏場の常温保存された飲み物は、雑菌が繁殖しやすいというリスクもありますので、
開栓後はなるべく早く消費するのが良いでしょう。

 

夏の水中毒に注意!適切な水分補給の方法

暑い夏には“十分な”水分補給が極めて重要です。
しかし、この“十分な”がどれくらいかは、あまり考えたことがない人も多いのではないでしょうか。
過剰な水分摂取は「水中毒」を引き起こすリスクがあります。

水中毒とは、短時間に大量の水のみを摂取することで血液中のナトリウム濃度が低下し、
「低ナトリウム血症」という状態になることを指します。
水中毒の症状には、頭痛、吐き気、めまい、多尿に頻尿、時には意識障害や痙攣などを
引き起こすおそれもあります。

これを防ぐためには、こまめに少量ずつ水分を摂るようにし、
一度に大量の水を飲むのは控えることが大切です。
具体的には1時間に1リットルを超える量は飲まない方が良いとされています。

また、ただの水ではなく、ナトリウムを適度に補給することも忘れずに。
スポーツドリンクよりも、経口補水液の方が電解質濃度が高いので身体に吸収されやすく、
糖分は少ないとされているのでぜひチェックしてみてください。

 

楽しい夏!冷たいものはほどほどに

夏の冷たい飲み物は、一時的な涼しさを提供してくれますが、
健康に与える影響については十分に注意しなくてはなりません。

健康を保つためには、常温や温かい飲み物を選ぶことや、
糖分の少ない自然の成分を活かした飲み物を取り入れることが大切です。

また、水中毒を防ぐためにも、こまめに少量ずつ、
そしてナトリウムを適度に補給することが重要です。

バランスの取れた飲み物選びを心掛け、夏を健康に過ごしましょう。


文/中新 大地(コピーライター)
1994年岡山県岡山市生まれ。
大学在学中の2014年より企業・個人の広報やブランドに携わる。
ネーミングやキャッチコピー制作、ホームページのコピーライティング、SNS運用等を担当。
”新卒フリーランス”という特異な経歴から、中学生から社会人まで幅広い層へのキャリア関連の講演も。
人々の「選ぶ」の裏にある「選ばない」選択肢を増やすためにも、多様な生き方と働き方を発信している。
趣味は博物館・美術館巡りと車中泊旅。