繰り返される巨大地震「南海トラフ」、過去と未来をつなぐ備え
日本列島に暮らす私たちにとって、地震は避けて通れない恐ろしい自然災害です。なかでも南海トラフ地震は、国の想定でも高い発生確率が示されており、私たち一人ひとりの備えが問われています。本記事では、その地震の仕組みや被害予測、歴史的背景、そして今できる備えについて、あらためて見つめ直します。
南海トラフ地震とは何か──その仕組みと発生の背景
南海トラフとは、静岡県沖から九州沖にかけて延びる、フィリピン海プレートとユーラシアプレートの境界線に位置する海底の溝(トラフ)です。この場所では、海側のプレートが陸側のプレートの下に沈み込む「沈み込み帯」の現象が起こっており、長年にわたりひずみが蓄積されることで、巨大な地震を引き起こすリスクを孕んでいます。
南海トラフ地震は、概ね100〜150年の周期で繰り返し発生しており、前回は1946年に「昭和南海地震」として起こりました。それからすでに80年近くが経過しており、次の発生が近づいていると考える専門家も多くいます。
この地震の厄介な点は、複数の震源域が連動して動く「連動型地震」であるということ。東海地震、東南海地震、南海地震が同時または時間差で連動すれば、揺れと津波の影響は太平洋沿岸広域に及ぶことが想定されます。
被害予測のリアル──想定される規模と生活への影響
政府の中央防災会議が公表した「南海トラフ巨大地震の被害想定(2025年改訂版)」によれば、最悪のケースでは死者数が約29万8千人に達するとされています。そのうちおよそ21万5千人は、津波によって命を落とすと想定されており、津波避難の重要性が際立ちます。
建物の全壊・焼失はおよそ235万棟、重軽傷を負う人の数は約63万人。断水の影響は約3,000万人、停電は約2,700万軒に及ぶとされ、交通・物流・通信といった社会インフラにも大きな打撃が予想されます。
被害の範囲は太平洋沿岸部にとどまらず、内陸部でも揺れによる建物倒壊や火災、山間部では土砂災害のリスクが懸念されています。すなわち「遠い地域の話」ではなく、全国規模での備えが求められる災害です。
参考:内閣府『南海トラフ巨大地震最大クラス地震における被害想定について』2025年3月
https://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/taisaku_wg_02/pdf/saidai_01.pdf
繰り返されてきた現実──歴史に学ぶ“次の震災”
南海トラフ地震は決して“未曾有”のものではありません。むしろ、私たちの祖先はこの地震と長く向き合ってきました。
たとえば、1707年の「宝永地震」は、マグニチュード8.6と推定され、東海・東南海・南海の震源域がすべて同時に動いたと考えられています。さらに、この直後には富士山の宝永大噴火も発生し、地震と火山活動の関連も注目されています。
1854年には「安政地震」が2日にわたって発生。東海地震と南海地震が連動したとされ、津波によって高知県などで大きな被害が出ました。1946年の「昭和南海地震」は、近代日本における最も記録の多い地震のひとつで、紀伊半島から四国、九州にかけて津波や地盤の液状化などを引き起こしました。
このように、南海トラフ地震は繰り返し日本列島に甚大な被害をもたらしてきた“歴史的現実”です。そして今、私たちはまたその周期の中に生きています。過去から学び、未来に備えることは、過去の被災者の教訓を生かすという意味でも大きな意義を持ちます。
今できること──防災意識と暮らしの中の備え
被害の想定を知ることは大切ですが、それだけでは命は守れません。実際に「自分の家庭ではどうするか」を考えることこそが、災害対策の第一歩です。
まずは住んでいる地域のハザードマップを確認し、津波や土砂災害のリスクを把握することから始めましょう。避難経路や避難所の場所を家族で共有し、非常持ち出し袋を用意しておくことも基本的な備えです。
また、家具の固定やガラス飛散防止シートの活用、最低3日分の水・食料・医薬品の備蓄など、「暮らしの中に組み込む防災」を意識することが重要です。スマートフォンの防災アプリや地域の防災メールに登録するだけでも、いざというときの行動が変わります。
さらに、防災訓練に参加したり、家族・地域と話し合いをする機会を設けることで、“考える防災”から“動ける防災”へとステップアップできます。
今を知り、未来を守る選択を

南海トラフ地震は確実に「起こる可能性の高い未来」です。しかしその未来をどれだけ被害の少ないものにできるかは、私たちの行動にかかっています。想像すること、学ぶこと、備えること。日々の小さな積み重ねが、大きな被害を防ぐ力になります。
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